究極の完全犯罪 その2  +いよいよ非常事態?

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 部屋で差出人を見た。若葉高校26期D組同窓会となっていた。幹事は佐野ヒロシだ。
 高校を卒業してからも年賀と暑中のあいさつを交わしているのは佐野ヒロシと佐川新一先生の2人だけだ。あとの同窓生との交流は何もない。いつも馬鹿ばかりしていた佐野と恩師の佐川先生だけは何故か馬が合うからなのだろうか。
 ちょうど1月後の土曜日に隣のS市で開くのか。どうしよう。佐川先生が来るなら行こうか。半分出席のような思いで出席の項に赤いボールペンで丸印をつけ、小さく佐川先生が出席するなら、と付け加えておいた。佐野なら俺の意図を汲んでくれるに違いない。電話でそのことを連絡すれば手っ取り早いが、こういったハガキでの形態がレトロっぽくていいじゃないかと思った。
 同窓会まで10日となったとき、会社でトラブルが起こった。あの憎たらしい若造が納品した機械の操作方法を間違って教え、納品先の工員に大怪我をさせてしまった。1月くらいで完治するとのことで一安心だったが、あのガキがこともあろうか「吉田さんがしていた通りやっただけです。間違って教えてくれた吉田さんが怪我をさせた原因です」と課長に報告した。そんな言い方があるものか。
 どうして俺になるんだ。あの機械はもう10台以上2人で設置している。あのガキもこれまで1人で3台設置し、1人で使用方法を教えてきたではないか。
「吉田君、始末書を書いてくれ。そして明日お見舞いに行くことも忘れずに」と課長が言った。
「どうして私なんです。今日は別の会社で営業をしていたんですよ。北本君は1人で指導するようになっていたんです。どうしてあいつの尻拭いをしなければならないんです」
 俺は理不尽な言い掛かりに反論した。当然のことだ。まったく預かり知らぬことにどうして謝らなければならないのだ。
「厭だったら君から北本に話すんだな。あいつは仕事はもう一つだが、口が立つんだ。自分の非を絶対に認めないんだ。それにあいつは常務の身内でもあるからな。これ以上みじめな思いは厭だろ」
 全く論理が矛盾している。どうしてこんなことになるのだ。俺は自慢じゃないが仕事は無難にこなしている。売上もそこそこだ。けれども飲み会への参加が少ないためか、はたまた無駄な口をきかないためか、係長にもなれない。こんな俺が課長から煙たがれているのは分かっている。けれども他人の失敗、それも怪我をさせる事故を起こした責任まで、どうして俺が取らなくてはならないのだ。
 課長はガキの北本の上手を行くワルだと、俺はしみじみ思った。今の話だって平社員の北本に媚びを売り、常務への心証を良くしようとして自ら考えたものかも知れない。下手をすれば北本に入れ知恵をして俺に濡れ衣を着せて馘にしようと画策しているのかも知れない。もっと給料の安い若手を採用して点数稼ぎを企んでいるのだ。

 次の日、あんな下衆課長は、豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ、と罵りながら北本の尻拭いのため、見舞金と菓子折りを持って工員の入院先へ出向いた。が、会社を出るまでに一悶着あった。見舞金の出金伝票を持って経理へ行くと、担当の女子社員が「あんたのところは毎週ミスをおかしてるわね。今月これで三回目よ。このまま事故が続けば問題になるわよ」と言う。何のことや分からない俺ではあったがグズグズしていたら、今日の予定が全部狂ってしまう。すまなさそうな顔をして頭をさげると、お見舞いの袋に紙幣を入れたものを渡してくれた。
 うちの規模の会社でも、ちゃんと手続きを踏めば見舞金なんてすぐに出るんだ、と俺は変に感心した。

※※※

本日非常事態宣言になる大阪。

昨日からスーパーでは買いだめが。レトルトのカレーはありません。
たぶん今日はもっと少なくなるでしょう。
人間、困難な状況になるとやけ食いをするのかな。
生命維持のための行動かも知れません。

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