身勝手小説の部屋

アクセスカウンタ

zoom RSS 隠し神 上の巻 おわり

<<   作成日時 : 2018/06/05 08:34   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

画像 人間は寿命を全うするまで元気で暮らしてゆけるのが何よりも大事なことであるとイデレブラ達神様はいつも考えている。出生率が低く、このままでは人口が減少すると嘆いている為政者達だが、老人達が元気よく働いている姿を見れば、若い人達も次世代を担う子供を多く生む。未来に希望が持てる世の中にするための根本は、元気な老人、働ける老人を増やすことに他ならない。その環境を整えるのが元気村構想だ。
 元気村は老人ホームを核としたコミュニティーで、子供や若い世代も参加して生活必需品の生産に携わる。若い世代が知らない、お婆ちゃんの智恵、お爺ちゃんの智恵を活かしながらスローライフを実現しようとするものだ。
「師匠はコミュニティーの責任者になり、私もお手伝いするのです。レジャービルで培ったノウハウを村に応用することも考えています。会員のお客様の多くも協力してくれますから」
「そういうわけじゃ。自然農法に間伐材を使用した家具や雑器をつくりみんなで使うのじゃ。ま、自給自足みたいなものじゃが、お年寄りにはできるだけ仕事をしてもらう。世代を越えた繋がりが人間の本来の姿を取り戻すことになると、儂は思っておる」
 神様なのによくもまあ、色々アイデアを出すものだと、俺は感心した。けれども洋子が登場していない。鬚爺さんの仕事には必ず一枚噛んでいるのにどうしてなのだろうか。ここにもいない。どうしたんだ。
「洋子君はデッキにいるよ。今まで儂の補佐をしてくれていたが、今回はのんびりして英気を養ってもらおうと思う。それにダメ男にもっと大きくなってもらうためにも洋子君の手助けが必要じゃ」
 俺が大きくなるって、意味が分からない。このままで、もう十分だ。身近な人が幸せになってくれればそれでいい。
「ダメ男はそれで良いかもしれないが、もっと多くの人を幸せにできるなら、その方が良いに決まっている。元気村だけでは一部の人たちしか幸せにできぬ。それを広めるのがダメ男と洋子の役目となる。少しづつでいいんじゃ。みんなのために頑張ってくれ。そう思うじゃろ、華子君」
「そうですね。昨日だって島中の人達に喜んでもらえましたから。大先生、これからも小さな幸せ、小さな喜びを与え続けて下さい」
 イデレブラが頷いた。俺はデッキへ出た。洋子は遠くを見ているようだが、実際は何か考え事をしているように思える。声をかけるとこっちを向いてにこやかな笑顔を見せた。
「何を考えていたんだい。元気村には参加しないってことを聞いたんだ。鬚爺さんのすることにはいつも賛成していたじゃないか」
「あまりにもこれまでのことが順調にすぎて私、怖いの。お爺ちゃんや麗奈さん、それにイッチャンは神様だから、やることには間違いないと思っているけど、あなたが飛ばしたあの弾のように、神様でも分からないことがあるんだから、今度の計画がうまく行くとは限らないでしょ。それに華子さんのこともあるのよ。あんなに別人のようになれるものかしら。私にはまだ信じれれない」
 発砲事件の時も俺達が華子のことを話していると、洋子は話題をそらした。女性特有の勘なのか。それとも相性が悪いのか。ライバル意識が強いのか。表面上は仲良しに見えるが、本当のところは分からない。
「そう、あなたの思ってる通りよ。女の勘なの。悪い人ではないと思うんだけど、どこか私達と違うのね。まだ何か目的があるような気がするの」
 洋子が他人の心を読もうと思えば読めることを俺は忘れていた。それなら洋子の本当の考えが知りたい。
「あなたは他人のことをとやかく言わないでしょ。それが私は大好き。元気村は華子さんの発案なの。だけどお爺ちゃんが思ってるようには進まないと思う。あなたは今まで通りに自分の思うがままに仕事をしていれば、問題ないわ」
 また俺は忘れていた。洋子に予知能力があることを…。元気村が失敗したとしても、何とかなると俺は思っている。人生なんて思うがままになれば面白くもおかしくもない。そう考えていると洋子が近づいて俺にキスをして、笑った。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
隠し神 上の巻 おわり 身勝手小説の部屋/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる