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zoom RSS 再掲載 隠し神 その1

<<   作成日時 : 2017/05/23 09:59   >>

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 酔っぱらって帰った。眠たい。何か飲みたい。上衣を脱ぎながら冷蔵庫の中を覗く。宅配の牛乳があった。布団に潜り込み、枕元に瓶を置いた。そのまま眠ってしまった。
 咽がからからになって目が醒めた。二時過ぎだ。牛乳瓶の蓋にあるフィルムを剥がし、キャップを外そうとしたが、なかなかうまくいかない。力を入れた。勢いで少しこぼれてしまった。気にせずにゴクゴク飲んだ。少し残ったのでまた蓋をした。
 朝になった。夜中に飲んだ牛乳の残りが目についた。捨てるのはもったいない。そのまま飲み干した。生ぬるかった。やっぱり牛乳は冷たいのがいい。味に締まりがない。そんなことを思いながら朝食を作った。冷凍の塩シャケをグリルに入れ、上のコンロで卵を焼いた。御飯をチンして即席の豚汁に熱湯を注いだ。これで朝食の出来上がり。
 両手を軽く合わせちょっと頭を下げてから一気に食べた。美味しかった。
 インスタントコーヒーを飲みながら今日何をしようか考えた。デザインの仕事をしているが、いわば自由業なので電話がかかってこなければ、丸一日手持ち無沙汰で過ごさなければならない。もう十時だ。コールがあれば即座に対応できるようにケイタイと子機は目の届く所に置いてあるが、鳴りそうな気配は全くない。こんな時は掃除だ。
 布団を押し入れに放り込み、掃除機のプラグをコンセントに差し込んだ。スイッチを入れ吸引口を前後に動かしていると牛乳瓶にあたった。掃除機を止め、ビンを流しで洗うことにした。宅配牛乳は洗ってプラスチックの蓋と一緒に返却しなければならないからだ。 あ、蓋がない。掃除機で吸ってしまったのか?。邪魔臭いが掃除機の集塵部を外し、中を見る。入ってない。放り込んだ布団を出して調べてみる。どこにもない。忽然と消えてしまった。仕方がない。キャップのないまま集配箱に返す。
 そのまま掃除を終え、今度はアイスコーヒーを飲みながら先ほどのことを思い返した。布団の中にも畳んだ毛布にもなかった。もうキャップの行き場所がないのに、見当たらない。諦めることにした。分からないものは分からない。結局仕事の電話も鳴らなかった。
 次の日、今度はテレビのリモコンが見当たらない。昨日みたいにまた布団と毛布を押し入れから出し探してみた。やっぱり無い。再びたたみ、押し入れに入れようとしたら、何かが落ちた。リモコンだ。どうもシーツの中に紛れ込んでいたようだ。良かった。これでテレビを見ることができる。昨日のキャップはまだ見つからない。不思議だ。
 相変わらず仕事の電話はかかってこない。あ、今日は祝日だった。全国的に一般の会社は休みだから仕事を発注する電話なんてあるはずがない。そうだ、久しぶりにロングウォーキングでもしよう。大鋸屑川の左岸遊歩道を下ることにした。水筒にお茶を入れ、水もペットボトルの小さいのに二本用意した。残り飯をおにぎりにして、大福とチョコレートやバナナもナップザックに入れた。指の出る手袋を嵌め、日除けのためのタオルを帽子の下にかぶり家を出た。三回目の休憩で食べ物はすべて食いつくした。二十キロくらいは歩いただろう。もう少しで河口堰につく。頑張ろうと思いながら歩き出した。ちょっと歩いて右手に手袋をしていないことに気づいた。土手の階段まで引き返し探したがない。まただ。三日連続でモノが見当たらない。
 風で飛ばされたのかも知れない。いや、ナップの中に入れたのかも。中の物をみんな出した。やっぱりない。諦めてそのまま堰まで行こうとした時に閃いた。帽子を取ったら手袋が落ちた。大福を食べる時、帽子を脱いだのだ。その時、外した手袋を帽子の中に入れたのだった。
 十分以上道草を喰ってしまった。堰に着いたら四時前だった。まだ日射しはあった。芝生に寝転び微睡んだ。

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