隠し神 第3部 No.23

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 小さいが大きな物でもある巨人の破片。なんだか禅問答みたいだけど、このなぞなぞを解かなきゃウリボーを救いだせない。絶対に簡単なことだけど、いつも教えてくれない神様関係だ。
 小さいものがあの巨人の赤銅色の破片だとしたら、それはどこにあるのだろうか。こんな大海原の中から探し出すことなんて不可能だが、観音様の手のように、次から次へと繰り出せば、解決できるはずだ。
 だったら丸めて変な物を始末していた観音様の手は、関節部分に散らばっていたちょっと濃いものだけを集めていたはずだ。だからウリボーの居る足らない破片も、もう一度あの時の濃さのものを千手観音で探査すれば必ず見つけることができる。
 再探査を体で現さねばならない。ちょっと考えて俺は後ろを振り返り、フィルムの逆回しのような仕草をした。するとモニターは巨人がバラバラになったところから逆回転し、元の巨人に戻った。そこで止まると今度はまたバラバラになる。行ったり来たりするモニターの映像だ。千手観音が勝手になくなった部分を高速で探しているようだ。
 モニターが止まった。引きの画面となり、海中に移った。海底から生えているように見える壊れた足の部分に肩のあたりの破片が落ちている。俺は金属探知機で見ている格好をした。
 居た!
 ウリボーだ。破片のへこんだ部分に挟まっている。ひょっとしたら体のどこかが刺さっているように見える。早く救出しなければならない。またゼスチュアで潜る格好をした。海底に着き、破片に近づこうとした時だ。
『動くなダメ男。動くと揺りかごを破壊するぞ。そうなれば神様の大半がいなくなるぞ』
 ヘルヘイトの声が聞こえ、周囲が暗くなった。巨人が俺達の千手観音を踏んづけようとしている。まだ変な物の一部は生き残っていて次の巨人を作ったのかも知れない。俺はすぐさま逃げの態勢をとって少し遠ざかった。巨人2号はこっちに目を向け追おうとした。
 俺は内心ほくそ笑んだ。すぐさま取って返しウリボーの破片を手で掴み、九〇度別の方角へ逃げた。もちろん巨人2号は破壊した巨人1号より動きが鈍いと判断したのがよかった。
『死にかけている神たちを助けてどうなる。神たちがこのまま死ねばダメ男、おまえが神になれるのだぞ。早く破片を捨てて家へ帰るんだ』
 ヘルヘイトは焦った感じで訳の分からないことを言ってるが、今は聞く耳を持たない俺だ。なんとか巨人2号から逃れ、奇ッ怪島へ飛んだ。1号のように即座に追ってくる様子はない。奇ッ怪島は上空から見るとピカピカ光った宇宙船に見えるのだが、デッキに近づくにつれて帆が破れたボロボロの幽霊船に変化して行く。不思議だ。
 降り立ってウリボーを破片の間から掴み出す格好をした。すると観音様の手はウリボーを破片の間から解放し、海へ戻してやるのだった。海に入ると、蛍イカくらいの大きさしかなかったウリボーが一瞬にして元の大きさに戻り、その衝撃で奇ッ怪島は左右に揺れるのだった。

「ダメ男、ありがとう。揺りかごから奇ッ怪島へ神様たちを戻すよ」
 疲れたような声でウリボーがそう言うと、幽霊船のような奇ッ怪島全体が一瞬のうちに上空から見た宇宙船のようにピカピカに輝くのだった。
「みんな移し終えたよ。これで一安心だね。さようなら」
 最後は消え入りそうな声だ。ウリボーに何かあったのだろうか。
 ………
 啜り泣くような声が聞こえる。だんだん大きくなり、号泣になった。洋子だ。それに紘子の声も。
「どうしたんだ。みんな助かったんだよ」
「ウリボーが死出の旅に立ったのよ。どこにもいないでしょ。もう海淵の底あたりでしょう。ウリボーの永久の眠り場所なの」
 泣きながら説明する洋子の顔が浮かんでくる。けれどもどうしてウリボーが死ぬことになるのか理解できない。
「変な物から揺りかごを守るためにずっと引っ張って色々な海を渡ってきたでしょ。ウリボーにとっては自分の住む海域から外れることは、大変勇気がいることなの。行く先々のボスに断わりを入れなきゃならないし、手土産もいるのよ。それでも神様の揺りかごとして自分の役目を遂行するためにウリボーは頑張ったのよ。神様が動けないんだから」
「ウリボーはお義兄さんと遊んだことが楽しみだったみたいよ。人間と遊ぶことなんて絶対ないウリボーたちなんだから。きっとウリボーは天国へ行くわ」
 紘子だ。

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