隠し神 第3部 No.13

画像「神様達は何処へ消えたんだい。気配が全くしないんだ」
「僕達には分かんないよ」
「ウソをついたらいけないよ、ウリボー。君達が引っ張り回していたこの奇ッ怪島から神様は逃げ出してはいないし、何もしないで息を潜めじっとしてることなんてことも絶対にないよ。本当のことを話して欲しい」
「………」
 ウリボーは黙ってしまった。話したいけど話したら叱られる、って感じだ。
「俺は知ってるよ。神様達はウリボーの中で寝ているんだろ。本当はウリボー、君の中に神様達が入っているんだろ。分かってるんだから」
「………」
 また何も言わない。けれどさっきと違い、嬉しそうな感じに見える。

「よく分かったね。僕の中に神様達がいることを」
 ウリボーが、よく気づいたといった風な感じで微笑んだ。
「ダメ男の言うように僕が揺りかごの役目をしているんだ」
 ようやくウリボーが本当のことを話し出す気分になったようだ。
「この部屋が並んでるエリアは、奇ッ怪島、つまり帆船の中じゃなくって、僕の体の中の頭の部分にあるんだ」
「ヘンだと思ったよ。変な物にヘラを突き立てた瞬間、海水が入ってきたけれど、あの穴はいったい何だったんだ」
 ウリボーは笑っている。言いたいのに言わない。俺が知ってるはずだ、というような顔をしている。
 まだ笑っている。何か穴に関係しているってことなんだ。分かったぞ。ヘルヘイトと戦った時のことを思い出した。イデレブラが俺の肛門から通路に入った。俺もイデレブラの水虫の足の指の間から通路に入った。そして今の世界に帰還することができた。ウリボーの体内も俺やイデレブラが通路として利用したように、通路、いやそれよりももっと高度な揺りかごとして利用しているに違いない。
「ダメ男の考えている通りだよ。神様は僕を揺りかごとして選んだんだ。ちょうど一〇〇年前にね。それまでは僕の父ちゃんが揺りかごを預かっていたんだ」
 ウリボーは話したくてしようがないのに話せないでいた子供みたいに、嬉しそうに話すのだった。さすが神様、目の付けどころが違うと俺は感心した。
 モンスターのイカは神様の揺りかごになるための家であり、その家を警護する役目もずっと担ってきたのだ。
 イカには揺りかごであり続けるための環境が整っていたためだ。いつも暮らしている深海ではモンスターである巨大なイカより強い生き物は存在しなかった。だから神様も安心して子供達を預けることができた。もしも他の魚類や哺乳類を揺りかごにしていたなら、海面近くで生活をしなくてはならず、それは自然環境の変化に左右されやすく、他の捕食者に食べられてしまう危険も増大するからだった。
「近年まではほとんど人間と遭遇することなんてなかったんだ。この二百年くらいだよ、人間の仕掛けた網にひっかかって仲間が死んでしまうことになったのは。それでもまだダメ男たち人間は僕達を生きたまま捕まえることなんてできないでいるんだ。父ちゃんの受け売りだけど」
「ウリボーたちのことはよく分かったけど、奇ッ怪島であるこの帆船の意味はいったい何なんだ。あ、今俺はどこに居るんだ?」
 肝心のことを忘れていた。穴がウリボーの体に中へ入る通路だったとしたら、さっき船底の天井の扉を壊したのはウリボーだ。ということはウリボーの足(手)は自分の体の通路の中に入っているということだ。これじゃ俺がイデレブラの中に入り、イデレブラが俺の中に入ったこととよく似ている。
「気がついたね、ダメ男。そう、僕と奇ッ怪島は繋がっているんだ。多元宇宙はダメ男もヘルヘイトと戦ったから知ってるだろ。あれとはちょっと違うみたいだけど、トムとジェリーに出てくるようなチーズの虫食いみたいに、それぞれの虫食い穴が別の宇宙や次元に繋がっているんだ。神様はこの虫食い穴を行き来できるんだよ。ダメ男が修行したのとはちょっと違うだろ」

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