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zoom RSS 隠し神 14

<<   作成日時 : 2017/08/29 10:04   >>

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朝からミサイルのことばかり。

朝の番組「ひよっこ」も休止。

明日、不満をぶちまけます。

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 俺は四日後の納品ということで、その仕事をすることにした。
「こんなの一時間もあればできるから、ちょっと付き合って。あ、そうだ。これで食費等はチャラだよ」
 しっかりしてやがる、と俺は思う反面、イッチャンはやっぱり神様の子供であると再認識した。人の考えていることが分かるのだから、俺がした仕事のパターンも理解しているし、パソコンに初めて触れても使えるのである。
 しばらく歩いていると訪れたことがあるようなビルの前に出た。裏道からだったので、さっきのクライアントの会社から、こんなに近くだとは思わなかった。
「お兄ちゃん、ここだよね。女社長と課長の仕事場は…。僕、フルーツアラモードが食べたい」
 さっさと喫茶店に入って行く。イッチャンの姿を見たウェイトレスは後ろを向いて口を押さえた。席に座り注文している時も吹き出しそうな顔をして必死に堪えている。すでに見知っているイッチャンではあるが、神様の息子ということで服装なんか全く気にしていなかった俺は、時代錯誤の格好であることに初めて気がついた。イッチャンの着ているものは卑弥呼の時代に出てくる衣装とそっくりで、おまけにヘアスタイルも大黒様のような両耳のところで髪を結んだものだった。
「イッチャンのスタイルはいまの時代に合ってないよ。こんな格好でいたらみんなが注目するのはあたりまえだ。食べたら服を買いに行こう」
「ダメだよ。この格好が神様の神様たる証しなんだから。ま、コートのようなものを羽織るくらいだったら構わないけど、これを脱ぐことはできないよ。あ、女社長が帰ってきたみたいだよ。僕の名前を出してもいいから、連れてきて。でも、触っちゃダメだからね。よけいにおかしくなるから」
 俺は社長を追い、声をかけた。
「何の用なの?」
「イッチャンが待ってます。どうぞ」
 俺は女社長を先導した。仕方なさそうに女社長はついてきた。今朝のことが気になっているようだ。
 女社長がイッチャンの向いに座ったが、その格好を見ても、吹き出したりしなかった。すました顔をイッチャンに向けている。どうも子供であることを知っているようだ。
「あなたは……」と女社長は言いかけたが、次の言葉が出ない。中途半端に女社長の頭の中にイッチャンが留まっているみたいだ。
 イッチャンは真剣に女社長の顔を見る。女社長は目をそらそうとしているのだが、凍りついたようになっている。
「おばちゃん。あのキャップで何かして遊んでたでしょう。それも三人で」
「なんでそんなことまで知ってるの。あなたはいったい何者なの?」
「ちょっと人差し指を出してください」
「どうしてそんなことしなければならないのよ。またヘンなことするんでしょ」
「構わないよ。おばちゃんが指を出したくなければ。でも、このままじゃ三人とも捕まってしまうよ」
 俺にはイッチャンの言ってる意味が分からない。牛乳瓶のキャップに俺の記憶があり、その記憶が女社長ら三人に少しインプットされただけだと話していたではないか。鬚爺さんや麗奈婆さん、それにイッチャン達三人は重要なことをまだ隠していたのだ。それでも俺はイッチャンが女社長に何をするか見極めたかった。
「あのことを知ってるの?」
「うん、知ってる。だから早くしなくちゃ大変なことになるの。おばちゃんの妹のおっちゃんがだんだん狂ってきてるでしょ」
「わかったわ。はい、どうぞ」
 女社長は人差し指をイッチャンの前に突き出した。歳の割にはきれいな指をしている。その指に顔を近づけイッチャンはペロッと舐めた。女社長はその時電気に撃たれたように震えた。
 気を失ったみたいで、数秒間瞬きもせずに固まっていた。
 我に返った女社長は、今度はイッチャンの顔を見て急に笑い出した。
「おかしなスタイルね。これから何か劇でもあるのかな?」
 女社長は今までの事はなかったように幼児に話しかけるように尋ねた。けれども自分が何故、この場所に居るかということは分かっているようだ。さもなければ正気に戻った途端に、まず自分が見知らぬ子供と喫茶店で同席していることに疑問を抱き、どぎまぎするはずだ。
 俺はイッチャンにそのことを聞こうとする前にイッチャンは女社長に言った。
「おばちゃん。朝早くに近くの駅に呼び出したり、すでに終わってる法事の打ち合わせをまたやったり、あのおかしい行動をするおっちゃんの指を今のように舐めてあげれば元通りになるよ。おばちゃんの妹さんは大丈夫だから、心配しないで。もうあれはなしだよ」
「坊や、お利口ね。ありがとう。じゃ、失礼するわ。ダメ男君も頑張ってね」
 午前中に会った時とは全く別のとびっきりの笑顔で女社長は席を立った。店を出る時、あのウェイトレスになにやら耳打ちした。

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